#検察庁法改正案に抗議します—どんな法案?何が問題? わかりやすく説明(その後の展開も追記)

先日Twitterで急速に拡散されトレンドになった「#検察庁法改正案に抗議します」というハッシュタグ。見なれない検察庁法という言葉に戸惑った人も多いのではないでしょうか?このツイートの真相や、検察庁法がどんな法案で何が問題だと思われたのか、全容を分かりやすくまとめました。

今国会で提出された詳細な法案内容については内閣官房のサイトでご覧ください。
» 参考:第201回 通常国会 | 内閣官房

検察庁法改正案ってどんな法案?

この度検察庁法改正案だけが注目されていますが、国家公務員法の改正案などの関連法案として提出されており公務員の定年に関する改正案です。

国家公務員法の改正案の内容は、一般の企業と同じような流れとして、公務員も定年を60歳から段階的に65歳まで引上げていきましょうというもの。そのかわり60歳以降は管理職は辞任してもらって、平の給料になりますよ、というかんじです。

そして検察官も公務員なので、今回検察庁法の改正案も一緒に提出されました。検察官の定年は現在63歳ですが、こちらも同じように65歳まで引上げていきましょう。ただし63歳以降は平の給料になりますよ、というかんじです。(検事総長は現在65歳定年なのでそのまま。)また、定年とは別に勤務延長制度というものもあり、最大3年までという規定も明文化されました。

これらの法案は2008年から検討がはじまり、人事院が2018年に意見を提出する形で改正案として提出されることになりました。安倍政権内で検討をはじめたものではなく、民主党政権の時からずっと検討してきたことなのです。

ただ、2020年になって少し検察庁法改正案の条文に追加が入りました。それは、次長検事や検事長は63歳以降は65歳まで通常は平の検事になるが、「内閣が定めた事情がある場合」は、その権限(役職)を保ったまま仕事ができる場合もあります。という内容です。これが波乱の原因となりました。しかし、すべて手続きを踏んだ上での法案提出であり、野党がそんな改正案は知らされていなかった!ということは今さらありえないことです。

この法案はなぜ抗議されているの?本当に問題?Q&A

Q.安倍政権に近い黒川氏の定年を延長するための改正案では?

A→間違い
この法案の施行日は2022年4月1日です。一方、黒川検事長は現在63歳で、在任期間は2020年8月7日までです。もともと黒川氏は今年の2月に退職する予定でしたが、カルロス・ゴーン被告の海外逃亡事件の影響で1月末に半年間だけ勤務が延長されました。
» 参考:検察ナンバー2“異例”の定年延長…ゴーン被告の逃亡が影響か | zakzak

しかし2022年には退職しているので、この改正案とは関係がありません
現在の検事総長は稲田伸夫氏で、65歳(定年)になるのは2021年8月ですので、黒川氏は短期間であっても検事総長になること自体難しいかもしれません。
また、安倍総理の任期は今のところ2021年9月末までですから、施行年の2022年には任期が終了している予定です。(法案が公布日から施行されるという情報は間違いです。公布日からはじめるのは規定の整備)

Q.安倍総理が逮捕されないために保身で人事介入をしようとしているのでは?

A→間違い
安倍総理が逮捕されるくらいの悪事を働いていると考えている人がいるようですが、モリカケ問題では安倍総理が関わったという証拠が一切見つかっておらず、現状マスコミの印象捜査が過剰であったことだけが明らかになっています。
» 参考:今さら聞けない ほんとのモリカケ問題—わかりやすく説明(森友問題) | ものしらず

ですから現在安倍総理に対する捜査などは行われていませんし、検事長が誰になろうが逮捕されることはありえません。また現在の検事総長は稲田氏であり、黒川氏の勤務期間を延長したところで、強い圧力になるとは思えません。
また、繰り返しになりますがこの法案の施行日は2022年なので、安倍総理も黒川氏もすでに退任しているでしょう。

Q.内閣が検察に口出しするのはNG!三権分立に反するのでは?

A→間違い
三権分立でいうなら、検察は内閣の組織であり行政権に含まれます。ですので、三権分立に反するという理屈はなりたちません。
そもそも検事総長や検事長は内閣に任命権がありますので、今回の定年延長に関しての改正だけが過剰な介入になるという理屈はおかしいのではないでしょうか。
たしかに検察庁というのは特殊な組織で、政治的にも独立性を保たなければならない官庁ですが、内閣が検察に過剰な介入をするな!というのであれば、この改正案を批判する以前に、そもそも内閣の任命権を取り消せ!という活動をするべきなのです。
しかし、検察庁は実質的にあらゆる権力からすでに独立しており、過剰な強権を持ちすぎている可能性すらあります。私は調べていく内に、この三権(立法、司法、行政)どの分野をも支配下に置きかねない検察という強権力に逆に危機感を感じました。

Q.今はコロナに集中!この時期に通すべき法案ではないでしょ?

A→間違い
コロナに関する法案は優先すべきですが、国会ではそれ以外の法案も進めなければいけません。現在、この検察庁法改正案を含め法案が55本も出ており、昨年からの持ち越している法案も多数あります。コロナの法案だけ通せばいいという訳にはいかないのです。この法案が2008年から検討されていることを考えれば、今さら騒ぐべき法案内容ではないと思いますし、直近に「内閣が定めた事情がある場合」という文言が盛り込まれたからといって、一人の政治家の一存で検事長の進退を決められるようになったわけでもなく、そもそも検察に対する任命権は内閣にあるので(それが問題でない限り)問題ないでしょう。議論する時間は12年もありました。今、通す時期ではない!は間違いで、今、騒ぐ時期ではない!が正解ではないでしょうか。

ハッシュタグ450万件ツイートの真相とは?

NHKでは380万件と報道、朝日新聞では470万件、立憲民主党では1000万人がツイートした!と騒いでいます。その真相を探ってみたいと思います。このツイート数を解析された方がおられますので、その内容を引用させていただきます。
» 参考:#検察庁法改正案に抗議した人は本当はどのくらいいたのか | note

5月8日20時から、たった15時間の間に450万回のツイートとリツイートがあったようです。朝起きたらいきなりトレンドで「#検察庁法改正案に抗議します」という昨日まで聞いたことがないハッシュタグを目にした…という方も多いのではないでしょうか?
この#、ツイートだけだと、56万回投稿されています。56万回の内44%は1回だけの投稿。つまり25万件くらいは、1回だけハッシュタグを付けてツイートした普通のツイートといえそうです。その他は10回以下で、20回以上の投稿は5万件くらいだそうです。
一方、圧倒的に多かったリツイートですが、その半分以上は70回以上リツイートしたアカウントによるものでした。
72回以上リツイートしたアカウントは全体の2%。つまりたった2%のアカウントで半分以上の拡散を実現したということが分かりました。

また、この「#検察庁法改正案に抗議します」に限り、東京都内から大量に発信されていることが分かっています。ほかのハッシュタグは、全国各地から発信されており、全体にツイート数が増えてトレンドに載るということがほとんどですので不自然ですね。

機械的なスパム投稿はツイッター社によって削除され、何度も投稿数が減り調整されました。その増減を目撃し「政権がお金を払って投稿を消しているのだ」と陰謀論をつぶやく人も多くいましたが、はたして現実的でしょうか?機械的なスパムに対してツイッター社が機械的に削除している場合、お金などかかりません。逆にトレンドを生み出す為に、機械的なスパムを仕掛ける方が機材や人件費がかかると思います。このお金がどこから出ているかを考える方が自然ではないでしょうか?

海外と比べても公務員の定年延長は遅れをとっている?

さて、公務員の定年延長の問題に話を戻します。平均寿命は世界トップクラスの日本ですが、定年延長に関しては海外と比べ、かなり遅れをとっているようです。
» 参考:公務員定年、欧米は撤廃・延長 日本も65歳へ上げ検討 | 日本経済新聞

欧米の国家公務員制度をみると、日本以上に定年を延長したり、定年そのものを撤廃したりする例が目立つ。ドイツとフランスはそもそも日本より高い65歳定年だった。公的年金の支給開始年齢の引き上げにあわせ、両国とも定年をさらに延長する予定だ。ドイツは12年から段階的に上げ始め、31年に67歳にする。フランスも16年から上げ始め、22年に67歳にする。

人生100年時代において定年60歳は世界的にも早すぎるのは間違いなさそうです。長年検討してきた制度ですし、コロナ関連法案を停滞させない為にもスピーディな採決を期待したいところです。

強権を持ちすぎているのは内閣じゃなく、検察だった!?

私が今回いろいろな人の意見を聴く中で、特に興味深いと思ったのはホリエモン(堀江貴文氏)の動画です。
» 参考:検察庁法改正案に抗議しますとか言ってる奴ら全員見ろ | 堀江貴文 ホリエモン

彼の発言を意訳させていただくと、このようなかんじです。

検察は実質的に内閣のコントロール下にはなく、内閣には任命権もない(検察内での人事を追認するだけ)のが現状。行政機関にありながら準司法機関であり、立法まで促してしまう。検察は非常に強大な権限を持っている。そして、この状態が民主主義によって担保されていないところが最大の問題点。民主主義によって担保するというのは、私たちが選挙で選んだ国会議員が監視するということ。検察官は正義を標榜して強大な権力を振りかざしているけど、その正義を見張る制度がないのは恐ろしいこと。今回の改正案で強い権力が少し是正されようとしている、むしろいい方向に向かっていると考えるべき。

この動画では検察の歴史的経緯や、マスコミと検察の関係などご自身の経験も踏まえて語っておられ勉強になりました。私はこの動画を見て、検察の強大すぎる権限にこそ危機感を持つべきだと感じました。

検察人事に介入しているのは内閣じゃなく、朝日新聞だった!?

ホリエモンの動画でも出てきたマスコミと検察のズブズブの関係ですが、2月に撮影された須田慎一郎氏の動画では、さらにつっこんで、朝日新聞と検察の関係が語られています。
» 参考:【須田慎一郎】朝日は検察人事への介入をやめろ!第二弾 | [公式] ニューソク通信社

まだこの法改正案が提出される前、1月末に黒川氏の勤務延長が閣議決定されたのですが、朝日新聞はこのことをことさら叩きました。それは、次期検事総長の座を、朝日新聞と非常に親密な仲にある林眞琴検事長に譲りたいという意向からであったと須田氏は語っています。ゴーン被告が逮捕されたとき、羽田空港に帰って来る被告のスケジュールを知っていたのは朝日新聞だけでした。検察からのリークがあったわけです。林検事長のグループと朝日新聞はもたれ合い、協力関係にあり、おいしい関係を続けたいというのが本音です。ですから昨年11月に黒川氏の退任が決まりそうだと発表されたとき、朝日の記者は林検事長のいる名古屋までお祝いに駆けつけてさえいるのです。あからさまに権力と忖度にまみれているのは朝日新聞のようなマスコミの方でしょう。もはやこのような新聞の報道を信用するわけにはいきません。

この騒動の真相とまとめ

さて、検事長法改正案についてまとめてきましたが、ここまで読んだ方はどうお感じになったでしょうか?検事長法改正案に問題はなく、騒ぐようなことではないというのがお分かりいただけたのではないでしょうか。

しかし実はこの騒動の裏で、沖縄県の尖閣諸島の沖合において中国公船が領海に26時間も留まり、日本の漁船を追い回すという事態が発生していたことをご存知でしょうか?
» 参考:尖閣沖 中国海警局が日本漁船追尾 中国が日本側を批判 | NHK

排他的経済水域ではなく日本の領海内に留まり、「逆に中国の領海に日本漁船が入ってきたのだ!」と主張しているのです。この大きな事件はテレビでほとんど報道されていません。このニュースを隠すように「検事長法改正案がー!」と報道しているわけです。

もし国の安全保障に関わる大事なニュースを隠すことが目的でこのような火のないところに煙をおこしている犯人がいるとしたら、とても怖いことだと思いませんか。検察庁法に対する騒ぎというだけではなく、目くらましの為の騒動として考える必要もあると思います。

そして、この検察との関係をみても、コロナの対応をみても、現在の政権には強い権力など全くないことがわかります。安倍政権が、一部の人達がいうような独裁政権ではなく、民主主義政権であるが故の限界でしょう。政権に大小の不満があるのは仕方がないことです。しかし政権は国民を写す鏡です。良い政権をつくっていく為には、私たち国民一人一人が情報を見極め、自分の頭で考える力を付けることが一番の近道であることは間違いありません。今回のような政権批判に乗るだけではなく、私たちの認識を深め、意識を変えていきましょう!

今回の検察庁法改正案について、法律の専門家である大屋教授という方が詳しく解説されており、一般の方からの質問にも答えられているので参考になりました。
» 参考:大屋 雄裕(慶應義塾大学・法学部・教授) | Twitter
また、同じく専門家である徐東輝さんという方のnoteの記事も大変勉強になり、参考にさせていただきました。
» 参考:いったい検察庁法改正案の何に抗議しているのか | note

追記:黒川氏の事件と国民投票法改正案

<追記>2020年5月21日、東京高検の黒川弘務検事長が緊急事態宣言下の中、産経新聞と朝日新聞の記者と賭けマージャンをしたことが報じられ、黒川氏が辞任することになりました。まさに検察とマスコミのズブズブの関係(byホリエモン)が露呈した形になったわけです。

内閣の検察人事介入は許されない!と言っていた芸能人やマスコミが、内閣は検察人事の責任をとれ!と騒いでいます。矛盾が激しいですね。内閣には実質検察の人事権はなく、検察を追及できるような権限もありません。

結局、民主党政権時代に決めて何年も検討が続けられてきた国家公務員法の改正案ですが、安倍政権にとっては大した思い入れもなかったのか、あっさりまるごと廃案となってしまいました。安倍総理が逮捕を逃れる為に検察庁法改正案を通そうとしている!と騒いでいた芸能人とマスコミは、ハシゴを外されてしまいました。

しかし野党とマスコミはさらなる騒動を作り上げるべく今度は国民投票法改正案が問題だと騒いでいます。公務員の定年延長よりずっと大事な法案です。駅や商業施設で投票できるようにしよう。期日前投票をもっと柔軟にしよう。子供がいる人も投票に行けるようにしよう。…など、選挙に行きやすくする改正案です。農家の人が期待していた種苗法改正案も見送りとなってしまいました。安倍政権にもいろいろ問題はあるでしょうが、それ以上に野党やマスコミがひどすぎて国民の敵としか思えなくなってきました。

今さら聞けない ほんとのモリカケ問題—わかりやすく説明(森友問題)

2 COMMENTS

アッサジ

わかりやすくまとめて頂いてて、とても参考になりました。僕もホリエモンの動画とかメンタリストDAIGOとかの解説聞いたりして、世間は自分の頭で考えずにトレンドにのって騒いでるだけって事が多いっていうのをまた感じました。
テレビなんかYou Tubeで武田邦彦とか自分の聞きたい解説聞いてた方がいい情報が得られますよね。
また見させて頂きますね!頑張って下さい!

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寺島てら

アッサジさん>
コメントいただくと励みになります。普段は検察やら内閣やらについて考えることなんてないので、今回いい機会になりました。
自分も含めて日本人って情報戦に弱いな…とあらためて思います。今回の発端であるTwitterはとくに短時間にトレンドに乗らなきゃ!というような反射的なツールなので怖い面がありますね。
ほんと今は、専門家の説明も素人の意見も、同様にたくさん見ることができるのでとてもいい時代です。武田先生やホリエモン等の動画勉強になりますね。でも一見この人頭おかしいな…と思う意見にも考えるヒントが隠されている時があるので、一旦先入観なく取り入れるのも大事かなと思います(しんどいけど)。
更新遅いけど、また見にきてくださいね。

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