私たちは手を洗いすぎている!水だけ洗いが一番清潔!?常在菌バリアを大切に!

私たちは菌とウイルスにまみれている!

できるだけ細菌やウイルスを寄せ付けたくない!そう思って生活している人は多いと思います。新型コロナウイルスが話題になる中、ますます抗菌・除菌グッズ等が大流行、毎日手をアルコール消毒している人も多いのではないでしょうか?

でも、どれだけ殺菌しようが、アルコール消毒をしようが、あなたの体は常に細菌だらけ、ウイルスまみれだということをご存知ですか?

あなたが「自分」だと思っている体(細胞)のかなりの部分は、あなたではなく細菌(バクテリア)の細胞です。人間はおよそ36兆個の細胞で構成されていますが、体内や体外には数百兆〜数千兆個もの細菌が棲みついています。腸の中には1〜2kgの細菌がいますし、皮膚は1000種類もの細菌で覆われています。

ウイルスも同じです。私たちは常に40種類ものウイルスに感染しながら生活しています。もちろん皮膚にもウイルスが棲んでいます。そしてなんと人間のDNAの40%ウイルス由来の情報だと言うから驚きです。自分を構成する為に使用しているDNAはわずか2%程にすぎません。

» 参考:ヒト組織ヴァイローム(ウイルス叢)の網羅的描出―健常人の体内における“隠れた”ウイルス感染の様相― | 日本医療研究開発機構
» 参考:私たちのDNAの大部分は、「ウイルス」で出来ていた! | 現代ビジネス

私たちの身体には「自分」よりはるかに多い細菌が暮らしていて「自分」の情報だと思っていたDNAの半分近くに、ウイルス由来の情報が書き込まれているわけです。もはや私たちは、歩く細菌、ウイルス人間と言っても過言ではありません。

洗いすぎは逆効果!常在菌が全滅する怖さ

私たちと共生している菌やウイルスのことを常在細菌、常在ウイルスといいます。
この常在菌、常在ウイルスは、私たちにとって「いいもの」も「悪いもの」もいますが、バランスのとれた状態ならたくさんいる方が、私たちは清潔で健康な状態を保つことができます。

お腹の常在菌、腸内細菌(ビフィズス菌とか乳酸菌など)のことは最近よく知られています。腸内フローラ腸活という言葉が流行って「お腹の善玉菌を増やすのは大切だ」とみんな知っていますよね。

でも腸活している人でも、手や皮膚にすむ常在菌には意外と無関心です。私たちは今、清潔にしようとしすぎて、皮膚の常在菌をどんどん減らしてしまっています。

スーパーの入り口でアルコール消毒をし、家に帰ったら石けんでゴシゴシしっかり手洗い、うがい薬でうがいをする。これで、手と喉の常在菌は100%死んでしまいます。

常在菌が死んだ皮膚や粘膜は、荒れ地の状態で、バリア機能が低下してしまうので、逆に私たちにとって有害な菌やウイルスが付着しやすい状態になります。さらに洗いすぎを繰り返していると、表面の潤いがなくなってカサカサになり、それ自体がバリアである皮膚(角質層)が薄くなったり、弱くなってしまいます。バリアがなくなった皮膚からは有害な菌やウイルスが侵入しやすくなります。

そして一度いなくなった常在菌は、肌に復活するまで12時間もかかります。一度洗ってしまうと、12時間も無防備な状態が続くということです。

どんな菌が棲んでいる?その役割とは?

皮膚の代表的な常在菌は、表皮ブドウ球菌やアクネ菌、黄色ブドウ球菌などです。彼らは、余分な汗や皮脂を食べて分解してくれます。そして保湿剤になるグリセリンや、弱酸性を保つ脂肪酸を作ってくれるので、悪い菌やウイルスが皮膚に付いたり侵入したりするのを防いでくれます。彼らは常に皮膚を清潔に保ち、バリアを作ってくれているのです。

» 参考:皮膚の常在細菌について | 東京医療保健大学

そして私たちの皮膚の細胞は「抗体ペプチド」という悪い菌と戦う物質を作っているのですが、皮膚の常在菌もこの抗体ペプチドを作るものがいて、皮膚細胞と常在菌はいつも情報をやり取りすることで、この量を調節しています。私たちと常在菌は情報を共有する仲間であり、まさに共存関係にあるといえるでしょう。

ちなみに皮膚の「常在ウイルス」は何をしてるのか?というと、皮膚の常在菌に感染することで皮膚に留まり、間接的に私たちの美容と健康に関わっていることが最近の研究でわかってきたそうです。

「そんなこと言ったって新型コロナウイルスに罹らないためには、消毒するしかないだろう!」と思うかもしれません。しかし、新型コロナに罹って重症化しているのは「持病のある一部の高齢者」がほとんどで60代以下の人は感染者自体少ないのが実状です(※1)。普通の風邪でもインフルエンザでも同じですが、いくら手洗い、うがいをしようが、アルコール消毒しようが、身体が弱っていれば罹ります。皮膚が荒れていればもっと罹りやすくなるのです。

(※1) 日本人は2019年末までに、季節性コロナや新型コロナウイルスK型で集団免疫を獲得していた為、今流行中の新型コロナG型には感染しにくい。という論文が発表されている。人間はウイルスに一度感染すると抗体を作るので「抗体保有率」で実際に感染した人数が割り出せる。ほとんどの日本人が新型コロナG型の抗体を持っていない(0.03〜0.17%)ことから、非常に感染者が少ないことが分かる。(PCR陽性者の増加が報道されているが、陽性は喉に付着していたことを示すだけで感染とは限らない)ウイルスの流行は主に免疫システムの問題であり、日本人の手洗いや衛生習慣で防げたとは言えない。

» 参考:抗体保有調査結果 | 厚生労働省
» 参考:世界がモヤモヤする「日本の奇蹟」を裏付ける”国民集団免疫説”…京大教授ら発表 | PRESIDENT Online

また少し考えれば分かることですが、手だけを消毒しても、次の瞬間に触るタオルや、机や、あらゆる物には菌やウイルスがウジャウジャ付いていますよね。空気中にも菌やウイルスは漂っているわけですから、いくらきれいに洗っても、一瞬たりとも手に菌やウイルスがいない状態を保つということはできません。

風邪のウイルスはもちろん、新型コロナウイルスであっても、内側からの免疫がもっとも重要で、表面の皮膚も、自分の常在菌バリアがしっかりあれば、手に付いても顔に付いても最悪「のど」に付いたとしても体内への侵入を防ぐことはできるのです。

腸内細菌も同じで、バランスよく大量の細菌が棲んでいれば、あの怖い「O-157」(ひどい食中毒を引き起こす)ですら、簡単にやっつけてしまいます。現代人は腸内細菌がかなり減っているので、戦士不足で病気のリスクが高まっていると言われています。つまり、どんな悪いウイルスや菌であろうが、戦ってくれる常在菌・常在ウイルスさえ大切にしておけば、新型コロナだろうが、O-157だろうが、たいした敵ではない!ということです。

» 参考本:腸内フローラ 医者いらずの驚異の力 | 藤田紘一郎著

どんなふうに手を洗えばいい?

では、どんな時に、どんな洗い方をすればベストなのでしょうか。

たとえば、病院や駅の公衆トイレ、不特定多数の人がいる場所で物に触れた時などは、悪い菌や怖いウイルスがたくさん付着している可能性があるので、石けんで手を洗った方がいいかもしれません。病院の先生や看護師さんもよく手を洗っておられますが、これは病気の可能性が高い人が集まる場所なので、仕方がないといえます。それでも、結局洗いすぎるとバリアも潤いもなくなって、さらに感染しやすい状態になることに違いはありません。

また新型コロナウイルスは石けんに弱いことが知られていますので、感染予防の意味では石けんが有効です。でも、新型コロナは感染しても80〜90%以上が無症状か軽症で、重症患者もかなり少ない(通常の季節風邪の1%以下)ため、日本人にとっては、もはや洗いすぎのデメリットの方が大きいのではないでしょうか。

基本的に手に汚れが付いた時以外は、あまり石けんでゴシゴシ手を洗ったり、うがい薬でうがいをしたり、消毒をするのはやめた方がいいと思います。汚れを落とす場合、流水で10秒以上手をこすりあわせるだけで十分だそうです。あとは、常在菌の浄化作用を信じましょう。

アルコール消毒は「脂」で包まれているウイルス(※2)には有効だと言われています。しかし効果のないウイルス(※3)も多く、常在菌が完全に死ぬだけでなく皮膚も傷めてしまうので、毎日消毒するのはやめた方がいいと思います。また外にいる時に消毒すると、逆に使用後の感染リスクを高めてしまうようです。私はいろいろ調べた結果、アルコール消毒はしない方がいいと考えています。

(※2)インフルエンザウイルス・新型コロナウイルス等
(※3)ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルス、ライノウイルス等

のどの粘膜も弱いので、うがい薬を使うと喉の常在菌も全滅し、荒れてしまいます。かえって菌やウイルスが侵入しやすくなるので要注意です。ただ、「水」で軽くうがいをするのは、喉を湿らせる効果があるので、有効なようです。

» 参考:うがいは「水だけ」の方が風邪をひきにくい!? | Weathernews
» 参考:“手を洗いすぎる”と風邪を引きやすくなる | PRESIDENT Online

私の体験談:手術後の傷のはなし

最後に、私が手術で入院した時の話をします。

私は2年ほど前、腹腔鏡というお腹に1cmくらいの穴を4カ所ほど開けて行う手術を受けたのですが、手術後、その穴(深い切り傷)をどんな風に処置したと思いますか?イメージとしては、深い傷なんだから、縫い合わせて消毒して薬を塗って、包帯を巻いて安静にするんじゃないの?と思いますよね。

でも実際には「ただ放置するだけ」だったんです。一応、ガーゼが軽く貼ってあったんですが、すぐにはがれ落ちてしまって、そのまま放置です。傷の幅が狭いので縫うこともしませんでした。今、病院ではこういう傷に対してほとんど消毒しないそうです。消毒すると、傷口の皮膚が傷む上、常在菌が死んで悪い菌が付くので、身体が過剰に反応して傷の周囲の皮膚が固く盛り上がってしまうといいます。

しかも、安静にもしません。手術が終わって、目が開いたらすぐに歩かされます。熱があろうが、吐き気がしようが、とにかく傷はそのまま放置して歩き回ります。歩く一番の目的は、手術した部分がほかの臓器と癒着しないようにする為ですが、動いて血を巡らせることで免疫を上げる効果もあります。自分の常在菌免疫の力を使って治すのです。

このようなことからも、医療の現場でも皮膚を清潔に保つには「常在菌が最も重要だ」と認識されていることがお分かりいただけると思います。

すぐに手を洗いたくなる気持ちは分かります。アルコールした方が「なんとなく安心」という気持ちも理解できます。でも、私たちの手には悪い菌やウイルスと戦ってくれる戦士(常在菌や常在ウイルス)が住んでいるんだ!ということも、ちょっと覚えておいてほしいなと思います。

(了)

2 COMMENTS

一本指

なるほど!
完全に盲点ですね!
確かに洗った後の机やタオルなんて菌だらけですよね。
冷静になって考えると、なるほど!って思いますが、そのアルコールを求めてどれだけの人間が店に朝から並んで買い占めて…笑
日本ってオイルショックとか経験してるから買い溜めとか起こるんですかね?
自分買い溜めってしないんでなんでそんな買うの?って疑問に思うんですよね、

今回の記事の事ですが、一切マスコミが報道しない内容ですね。
いつもありがとうございます!

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寺島てら

>一本指さん
コメントありがとうございます。
コロナで潔癖になっちゃった人も、そろそろ冷静に考えなおしてほしいです。
買いだめは理屈じゃなくてテレビで品薄だと聞くと「あったら買わなきゃ!」って思うんでしょうね…日本人がこんなにパニックに弱いとは思いませんでした。
テレビでは大手化粧品メーカーや薬品メーカーがスポンサーにいるので商品が売れなくなることは言わないですね。

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