香港「国家安全法」とアメリカの対応—世界の騒乱—オモテとウラの戦いをわかりやすく説明

香港「国家安全法」導入とアメリカの対応

2020年5月28日に中国の全人代(国会)で香港への国家安全法導入が決まりました。中国の法律や規制を香港にも適用するという法律です。(追記:この法律は香港だけでなく全世界で適応されることがわかりました。世界のどこにいても、この国家安全法が定める違法な言動をすれば、中国や香港に入った時に拘束される可能性があります。)

» 参考:中国、国家安全法を採択 香港は「自由の砦」と米英など批判 | BBC

香港は1997年にイギリスから中国に返還されました。一国二制度として50年間は自治、民主政治が守られるはずでしたが早くも撤回されることになった形です。

この法案に反対するアメリカのトランプ大統領は、中国に強力な制裁を行う!と明言しました。

アメリカと中国は2017年から貿易戦争という形で貿易不均衡の問題について争ってきましたが、これまでは経済的な対立であり、イデオロギー的な対立ではありませんでした。2019年香港で逃亡犯条例への反対運動が激化した際も、トランプ大統領は強い発言はしませんでした。

しかし今回の新型コロナウイルス蔓延の影響で大きく状況が変わりつつあります。

トランプ大統領は5月29日の声明で中国が情報を隠蔽したことで世界的な大流行を引き起こしたことを批判。中国に支配されているWHOとの関係断絶を宣言。香港の自治侵害は条約違反であるとして香港の関税や優遇措置を撤廃すると発言しました。

» 参考:トランプ米大統領の中国に関する声明要旨 | 日本経済新聞

アメリカでは新型コロナでの死者が10万人を超え、失業率も大幅に悪化。大統領選挙が迫る中、トランプ大統領だけではなく民主党側も(表面上は)中国批判をさらに強めていかざるをえないでしょう。

香港弾圧をきっかけに、これからも段階的に強い対応、制裁をかけていくと思われます。中国は香港のことにアメリカが口出しするのは「内政干渉だ」として強く反発しています。

香港の未来と習近平の思惑

中国の、そして世界の金融・貿易センターとして存在してきた香港。

1997年イギリスは香港を中国に領土を返還するかわりに、金融業で莫大な金を儲ける特権を得ました。アメリカ、ヨーロッパの金融勢力も香港を利用してダーティな金を運用してきました。香港は自由で開かれた都市という反面、汚れた金が流れ込む犯罪の温床のような都市でもあったわけです。

このブログでは、2019年逃亡犯条例に対する反対運動が盛り上がった際に、香港のダーティーな金融市場と中国共産党の派閥争いについて書きました。またその争いがアメリカの民主党と共和党の対立、日本の親中派・マスコミと反中派の争いと結びついているという話にも触れました。
» 詳細:香港デモを報じるマスコミが、なぜ台湾デモを報じないか—隠された事情とは? | ものしらず

今回トランプ大統領は香港の特権、有利な関税や優遇措置を撤廃すると発言しました。これから香港が経済・貿易・金融センターとして使えなくなるということを意味しています。

今まで中国の企業が外国から資本を導入したり投資する場合、その7割は「香港経由」「米ドル」で投資してきました。香港は中国国内にありながら最恵国待遇の扱いを受けてきたのです。ですから、いくら中国に制裁を掛けても香港経由という抜け穴があったわけです。これからは、この穴も塞がれていくことになるでしょう。

また今回アメリカでは「香港人権・民主主義法」という法案を成立させました。香港の人権と自治を擁護するための法律です。他国の自治を擁護するなんてできるの?と思いますよね。中国も内政干渉だ!と反発しています。しかしこれはあくまで外征干渉であって、他国のことですので当然のことながら内政干渉まではできません。香港の民主人権を弾圧している組織、機関、人に対してアメリカから制裁をかけるというものです。

これによって今後、中国は米ドルの調達が難しくなり、香港経由の投資やビジネスも縮小せざるを得なくなるでしょう。一国二制度の約束を公然と破るのですから、世界からの信用も失墜することになります。

ではなぜそこまでして中国は香港を弾圧しようとしているのでしょうか?

一つは習近平が国内での支持率アップを狙っているということです。弾圧で支持率が上がるのか?と思うかもしれませんが、これまでの香港に対する特別扱いに対しては、中国国内では嫉妬心や反発心も大きく、快く思っていない国民も多いのが実情です。

そしてもう一つは、中国共産党内部での権力争いです。習近平の宿敵は江沢民派であり、江沢民派の牙城が香港なのです。江沢民派は世界の金融勢力と手を組み、私腹を肥やしてきました。政敵の江沢民派と香港の民主勢力を一緒に潰してしまえば一挙両得、習近平の権力基盤を固めることになります。

つまり習近平は自分の権力を守る為に、経済的な後退を選択したと思われます。開放改革路線を止めて国家を閉じ、再社会主義化。政治的権力の強化によってのりきっていく覚悟のようです。

香港と反トランプ勢力

そして香港の金融システムを壊すとなると、うまく利用してきたアメリカ側にも痛手があるのでは?と思います。なぜ強硬な態度をとるのでしょうか?

中共と同じくアメリカの中にもいろいろな勢力がいます。アメリカは国として一貫して中国と対立しているように見えますが、ではかなり繋がっています。その裏というのが香港の金融勢力と結びつきが深いアメリカ民主党や、ウォール街、ヘッジファンド勢力、イギリス、ヨーロッパの金融勢力などです。

この新型コロナウイルスの騒ぎでもアメリカは一枚岩で中国を非難しているように報じられますが、その裏で、実は武漢ウイルス研究所に最大の資金を投じてきたのはアメリカ政府(オバマ政権)であったことが分かっています。

» 参考:アメリカが武漢の研究所に資金援助していたことが発覚 | ParsToday

またオバマ元大統領やバイデン元副大統領の家族や親戚が中国の政府や企業と繋がりがあることも今ではよく知られています。

トランプ大統領は今後も香港の人権弾圧を名目に中国への圧力を強めていくでしょうが、それと共に民主党勢力、ダーティな金融勢力との戦いでもあるわけです。ですから中共と繋がる欧州や米民主党・金融勢力からの攻撃も強まっています。

5月26日ミネアポリスから始まったデモは、黒人男性が白人男性に押さえつけられて死亡したことが発端ですが、すでにその抗議活動は欧州にも飛び火し「組織化された団体」によって激化しているようです。

» 参考:米各地で抗議激化、黒人男性殺害と「もはや関係なくなっている」と州知事 | BBC

抗議のデモは数日で暴動へと発展し、破壊行動と略奪がメインとなっています。この組織化された団体というのが、中国・欧州・アメリカの金融勢力、反トランプ勢力と繋がっている可能性はかなり高いでしょう。民主党のバイデン候補は、この暴徒による破壊行動について一切非難していません。

新型コロナウイルス、香港問題、ミネソタ州の騒乱、大統領選挙、あらゆる出来事が複雑に繋がっており、詳細は把握しきれませんが、ただこれらは個別の問題ではなくすべて繋がっているということです。

日本でのクルド人デモにもこの組織化された団体が関わっているようです。極左団体ANTIFA(アンティファ)の旗、中国共産党の旗(※1)は、世界各地のデモや騒乱で目にすることができます。ANTIFAはトランプ大統領がテロ組織として認定したい(※2)と発言した危険な団体です。ANTIFAの活動にどこから資金が流れているのか、これから明らかになってくるでしょう。日本では日本共産党の組織として活動しているようです。
(※1)中国の旗は中国発信の捏造写真が多く真偽不明。
(※2)テロ組織に認定する根拠が少ないとして現在認定されていません。

トランプ大統領は、次の大統領選に向けてこの強力な中共・香港と結びついた金融勢力、民主党の画策と戦っていかなければいけません。ヘッジファンド、投資家で有名なジョージ・ソロス氏(※3)(民主党支持)は、全財産をつぎ込んでもトランプを落選させると意気込んでいます。
(※3)今回の暴動にかかわっているかは今のところ不明。

香港人権問題は解決できるか?

このように香港は自由都市という反面、汚れた金融勢力がはびこる犯罪の温床であり、そこにメスを入れようとすると世界各地で騒乱が起きるという構図になっているわけですが、この事実とは別に香港に住む人の人権をいかに守るかという問題は大きいと思います。

もともと一国二制度は時限条約であり、いずれは中国に吸収されるわけですから、今「一国二制度を守れ!」と言ったところで根本的な解決にはならないでしょう。なにが問題視されているのか?その根本は中国共産党の支配体制そのものへの疑問であり、いかに中国共産主義が人権を無視しているかというところにあると思います。

香港に中国国内の法律を適応することが人権を無視していると報じられるということは中国全土の人が弾圧状態にあるということと同義です。私は香港の人は「約束を守れ」という主張ではなく「我々は中国から独立する」という主張に変えるしかないのではないかと考えます。非常に難しいことではありますが、民主主義国の日本人として応援していきたいと思います。

日本にとっても対岸の火事ではありません。中国共産党の内部資料には尖閣諸島はもちろん沖縄も中国の領土であると主張した記録があります。また台湾は香港とは違い独立した主権国家であるにも関わらず中国はわが領土だと宣言しています。ウイグルやチベットへの侵略もつい最近起きた事実です。中国からの侵略を許さない為に、私たちは世界の情勢をよく把握する必要があります。

習近平を擁護する論調に注意

最近一部で「習近平は金融勢力と繋がりのある江沢民派と戦っており、どちらかというと正義である」という論調を目にします。トランプ、安倍、習近平が汚れた金融勢力と戦う正義であるという論調です。しかし、習近平がどの派閥と戦っていようと、中国共産党のトップには違いありません。尖閣に船を出しているのは江沢民派?香港を支配しているのは江沢民派?ウイグルを弾圧しているのは江沢民派?それが事実であったとしても、中国共産党を仕切っているのは習近平です。私は習近平だけが悪の権化だ!という意見と同様、習近平は友好的な存在だ!と吹聴する日本人(?)もあまり信用しないことをお勧めします。

参考サイト
» 藤井厳喜公式サイト

台湾デモ 香港デモを報じるマスコミが、なぜ台湾デモを報じないか—隠された事情とは?

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